実は日本語の文における「主語」「述語」あるいは「主部」「述部」が何を指すかにはさまざまな意見があります。しかし、このブログではあまり深入りしないで、曖昧なまま「主語」「述語」などの言葉を使っています。
基本的に、
「●が▲する。」
「●は▲だ。」
といった形の文の場合、●を「主語」、▲を「述語」と言います。
●や▲が長い場合は、「主部」「述部」と呼ぶこともあります。
例えば、
「父が屋根を修理する。」だと、動作主である「父」が主語で、「修理する」が述語です。
また、
「父はこの病院の外科医だ。」だと、「父」が主語で、「外科医だ」が述語となります。
大事なのは、
★「主語(主部)」と「述語(述部)」はきちんと対応していなければならない
ということです。
短い文だとわかりやすいのですが、長い文になると、この主語と述語の対応が意外とわかりにくくなり、間違った構造の文章ができあがってしまうこともあります。また、1つの文の中に複数の述語がある場合も、複雑になります。
これらについては別のページで解説しています。
主語がわかりにくいケースもあります。
次は、三上章という人の、有名な文です。三上氏の日本語文法に関する本のタイトルにもなっています。
「象は鼻が長い。」
さてこの文の主語は何でしょうか。
述語は「長い」でいいかな、と思われます。
「象」が主語だとすると、「象」は「長い」となり、述語とのつながりがヘンです。
「鼻」が主語だとすると、「鼻」が「長い」で、こちらのつながりはOKのようです。
そうすると、「鼻」が主語で、「長い」が述語ということになります。
では「象は」は一体何でしょうか? これは実は、日本語の大きな研究テーマになっています。
この辺り、日本語の難しいところです。日本語を「主語」や「述語」で分析することはできない、という人もいます。
一つの無理矢理な解釈としては、
「象は鼻が」までを「主部」ととらえ、「長い」を述語(述部)ととらえる、
ということも考えられます。でもわかりやすくないですね。。。
ここではこれ以上深入りはしません。
大事なのは上の★印で書いていることです。ただ、何が「主語」かがわかりにくいこともあるので、これを、「主語」という言葉を使わずに書き換えるならば、
★文の出だしと最後の方が、きちんと対応しているかが大事
あるいは、
★文の出だしと、文の途中の言い回しや、最後の方の言い回しがきちんと対応しているかが大事
ということになります。つまり、いつも文の全体を見ながら文を書かなければならないということです。とくに1つの文が長くなる場合は気を付けなければなりません。
具体的な例などは別のページで解説しています。
■まとめ 「主語」の定義は難しい。最初と途中と最後がきちんとつながっているかが大事。 |