基本ルール:「です・ます」か、「だ・である」か

文章を書き始める前に決めておかないといけないのが、基本的な文体をどうするかです。「文体」という言葉は、さまざまな文の種類を指す場合がありますが、ここで取り上げる「文体」は限定的なもので、次の2種類を指します。一つは、たとえば文章の末尾を、「…です。」「…ます。」という丁寧な終わり方にするもの。もう一つは、「…だ。」「…である。」という形にするもの。この2つです。前者を「丁寧体」または「敬体」、後者を「普通体」または「常体」と言ったりもします。

 

(この場合とは別に、「文体」という言葉は、たとえば「かしこまった感じの文体」「あの作者の文体」といったように使われることもあります)

 

そして、この2種類のうちどちらかに決めたならば、全部の文を、決めた方の書き方で書くのが基本です。ある文は丁寧体なのに、ある文は普通体というように、1つの文章に2つスタイルが混在してはいけません。

(例文1。良くない例)

その店は朝6時にオープンする。早朝なのに開店前からいつも長い行列ができています。人気の証拠である。

 

文末だけではなく、文の途中でも気を付けなければならない場合もあります。

(例文2。あまり良くない例)

新鮮な野菜がそろっているのが人気の理由だが、それだけではありません。

    ↓

(例文3。例文2を修正した例、丁寧体に統一)

新鮮な野菜がそろっているのが人気の理由ですが、それだけではありません。

 または、

(例文4。例文2を修正した例、普通体に統一)

新鮮な野菜がそろっているのが人気の理由だが、それだけではない。

 

では、どういう場合に「…です。」「…ます。」といった書き方がよくて、どういう場合に「…だ。」「…である。」という書き方がよいのでしょうか。

これはやはり、「誰」に「何」を伝える文章であるのかによって判断するしかありません。

 

会社内の報告書や大学のレポートなどでは、普通体(常体)で書くのが一般的ではないでしょうか。一方で、会社で作る書類であっても、新製品の特徴を一般の客にウェブなどで読んでもらう場合は、丁寧体(敬体)で書くことが多いでしょう。どちらで書いた方がいいかは、ある程度、会社や学校でルールが決められていると思いますので、まずはそれを確認しましょう。

 

一般的には、客への案内などは丁寧体の文章で書かれることが多いようです。丁寧体の方が、その名の通り、丁寧な印象を読む人に与えるからでしょう。とくにお詫びの文章などは、必然的に丁寧体になります。お詫びする時に普通体で書くと、お詫びしていると受け止められないかもしれません(「このたびは弊社の不備により多大なご迷惑をおかけした。ここに深く謝罪する。」——などと書かれても、謝罪している雰囲気は出ませんよね)。

 

個人的な意見ですが、丁寧体で文章を書く方が少々難しいような気がします。文章の中身(言いたいこと)に加えて、形式にも気を配らなければならないことが多いからです。このブログも「…です。」「…ます。」の丁寧体で書いていますが、私自身もけっこう難しいなと感じています。丁寧な印象や親しみやすさを読み手に与えるのはいいのですが、無意識のうちに話し言葉に近い書き方になって、主語と述語がうまく合っていないなど、文法的な破たんが起きやすくなる傾向があるようなのです。

 

また、丁寧体を使った、次のような文はどうでしょう。

(例文5)

 ①Aスタジアムの収容人数はBスタジアムよりも多いです。

 ②参加者は非常に少なかったです。

 ③会場の壁は白いです。

 ④選手たちの活躍を大いに期待したいです。

 

「多いです」「少なかったです」「白いです」「期待したいです」という部分は、書き言葉というよりも話し言葉という印象が強いような気がします。間違いとは言えませんが、書き言葉としてはちょっとした違和感、たとえばなんだか幼稚な印象が残ります。

こうしたことから、必要な時以外は、「…だ」「…である」といった普通体の文章を書くことをお薦めします。

 

*なお、丁寧体と普通体を混在させるのは基本的には避けるべきなのですが、意図的に混在させて、何らかの表現手法とするケースもあります。文章作成の「応用編」の一つと言えるでしょう。これについては別のところで解説します。

*ちょっと話がずれますが、日本語と違って英語には丁寧体と普通体の違いはありません。これは翻訳の時に問題になってきます。英語から日本語に訳す時に、丁寧体がいいのか普通体がいいのかを考えなければならないのです。このような英語と日本語の違いに目を向けることが文章作成に役立つということも、別のページで解説したいと思います。

■まとめ

「です・ます」調か「だ・である」調かを1つの文章内で統一