長い文:文を区切る場所と、内容の順番

次の例文を読んでみてください。

 

(例文1)

 4月の新車販売台数は前年同月比5.5%減の

34万5226台だった。原因は消費増税前の駆け

込み需要の反動で、8カ月ぶりに前年実績を

下回った。

 

消費税率が変わった時の、ちょっと古い文章です。

 

文法的には問題無いと言ってもいいと思います。ただ、内容から考えると、文を切る場所がこれでいいのか、少し疑問が残ります。

 

(例文1)を分解してみます。内容からすると、3つに分けられるのではないでしょうか。

 

①4月の新車販売台数は前年同月比5.5%減の34万5226台だった。

②原因は消費増税前の駆け込み需要の反動で、

③8カ月ぶりに前年実績を下回った。

 

この3つです。①が1つの文で、②と③で1つの文になっています。

上にも書きましたように、この(例文1)は、文法的には間違いとは言えませんが、文を切る場所を変える、あるいは、内容を述べる順番を変えた方が気持ちいいと思われます。

①と③はともに新車の販売台数に関して客観的な現象(数値)を述べており、しかもその内容はつながっています。ところが、その理由を述べる②が、①と③の間に割り込んできていて、少々気持ち悪い構造になっています。

 

そこで、①→②→③と並んでいるのを①→③→②と並べ替えると、

①4月の新車販売台数は前年同月比5.5%減の34万5226台だった。

③8カ月ぶりに前年実績を下回った。

②原因は消費増税前の駆け込み需要の反動で、

 

となります。

きちんとした文章に戻すには、「①と③と②をバラバラの文章にする」方法と、「①と③を1つの文にし、②を1つの文にする」という方法がありそうです。

ここでは後者の方法で、文章を作ってみます。違いがわかりやすいように、もう一度(例文1)も並べます。

 

(例文1)

 4月の新車販売台数は前年同月比5.5%減の

34万5226台だった。原因は消費増税前の駆け

込み需要の反動で、8カ月ぶりに前年実績を

下回った。

       ↓ 

 

(例文2。例文1を書き直したもの)

 4月の新車販売台数は前年同月比5.5%減の

34万5226台で、8カ月ぶりに前年実績を下回

った。原因は消費増税前の駆け込み需要の反

動だ。

 

こちらの方が、流れとしてはすっきりするのではないでしょうか。「(例文1)の方がいい」がという人がいても、反対はしませんが。。。

 

ポイントとしては、

★内容を並べる順番や文の区切りは、意味の区切りを考えてわかりやすく

ということになります。

 

次は少し違う例です。

 

(例文3)

 列車は定刻通り午後3時に東京駅を出発し、

車内は帰省を急ぐ乗客であふれかえっていた。

乗車率は100%を超えていたのではないだろう

か。

 

これも間違いとは言えない文章です。

ただ、分解すると、ここで書かれている内容は、

 

①列車は定刻通り午後3時に東京駅を出発し、

②車内は帰省を急ぐ乗客であふれかえっていた。

③乗車率は100%を超えていたのではないだろうか。

 

の3つです。そして、①と②がくっついて1つの文になっています。

しかし、どちらかというと②と③の内容の方が似ています。②も③も車内に客が多かったことを述べています。

ですので、①と②をくっつけて1つの文にするよりも、②と③をくっつけて1つの文にした方がいいように思われます。

しか〜〜し、またまた難しいのですが、②は客観的描写であり、③は筆者の予測のようなことが書かれています。ですので内容的には同じようなことでも、②と③を1つの文にするのは、これはこれでまた難しい感じです。

 

ということで、解決法としては、①と②と③をバラバラにして、3つの文にしてしまうということが考えられます。

 

(例文4。例文3を修正したもの)

 列車は定刻通り午後3時に東京駅を出発した。

車内は帰省を急ぐ乗客であふれかえっていた。乗

車率は100%を超えていたのではないだろうか。

 

いかがでしょうか。でも、やはり「(例文3)の方が好き」という人がいても、反対はいたしません。

 

もうちょっと極端な例を挙げてみます。

 

(例文5)

 我々は今後、少子高齢化問題についてより実践

的な対策を考えなければならず、まず少子化にお

いては、保育施設の拡充が課題として挙げられる。

現在、東京都の保育施設の数は、決して十分とは

いえない。このため働きながら子供を育てたいと

思っても……

 

これを分解すると、

 

①我々は今後、少子高齢化問題についてより実践的な対策を考えなければならず、

②まず少子化においては、保育施設の拡充が課題として挙げられる。

③現在、東京都の保育施設の数は、決して十分とはいえない。

④このため……

 

(例文5)では、①と②がくっついて1文になっています。しかし、①で「少子高齢化」の話を出して、②と③と④で、「少子高齢化」の一部である「少子化」の話を展開しています。ですので、①と②は内容から考えて、1つの文にはしないで、2つの文に切ってしまった方がすっきりします。

 

(例文6。例文5を書き直したもの)

 我々は今後、少子高齢化問題についてより実践

的な対策を考えなければならない。まず少子化に

おいては、保育施設の拡充が課題として挙げられ

る。現在、東京都の保育施設の数は、決して十分

とはいえない。このため働きながら子供を育てた

いと思っても……

 

つまり、最初の文を2つに切っただけです。これだけで随分わかりやすくなるのです。

■まとめ

意味や役割の違うものをくっつけて1つの文にしない。書く順番にも配慮。